頭部打撲・頭部外傷

『受傷後24時間は特に注意して下さい』
 頭を打ったときには、頭の中にいろいろな変化が起こります。
特に頭の内側に出血がおこると、最初は一見何ともなくても、生命に危険がおよぶことがありますので注意が必要です。
この出血による症状の出方は、血のたまる速さによっていろいろです。
頭を打った後、すぐに起こることも、数日たってから起こることも、ずっとおくれて数ヶ月たってから起こってくることもあります。
特に最初の24時間は注意が必要です。ですから、受傷直後に何ともなくても十分に注意する必要があります。
頭を打った後、元気だった人が急に吐くようになったり、意識がなくなったりして、時には死亡してしまうのは、このような頭蓋内出血のためです。
次のような症状が危険なサインです。
頭部打撲後に注意すべき症状
・頭の痛みがだんだん強くなる。
・吐気や嘔吐が何回も起こる。
・ぼんやりしたり、ほっておくとすぐに眠ってしまい起こしてもなかなか起きない。
(1時間おき位に起こしてみて、はっきり返事ができるかどうか試してみてください。)
・何度も同じ事を繰り返し聞く。会話の内容がおかしい。
・物が二重にみえたり、よく見えなくなったりする。
・手足が動きにくくなったり、しびれたりする。特に右と左の手足の動きが違う。
・けいれん(ひきつけ)が起こる。
・熱がどんどん高くなる。
・ひとみの大きさが右と左で違う。
頭部外傷時の検査
 頭部CTが第一選択です。
頭部CTにより、出血、骨折、脳損傷の有無を確認します。頭蓋骨骨折、頭蓋内の出血が認められた場合は原則入院が必要です。
出血、骨折があった場合、次のような診断名がつきます。
急性硬膜外血腫
 外傷後、頭蓋骨と脳を包む硬い膜(硬膜)の間に出血した場合を言います。
急速に増大し脳を押しつぶすような場合、生命の危険があります。
血の厚さが1-2cm以上あるいは出血の量が20-30ml以上の場合は原則して緊急手術(開頭血腫除去術)が必要です。
急性硬膜下血腫
 外傷後、脳と脳を包む硬い膜(硬膜)の間に出血した場合を言います。
急速に増大し脳を押しつぶすような場合、生命の危険があります。
血の厚さが1cm以上の場合は原則して緊急手術(開頭血腫除去術)が必要です。
脳挫傷、脳内血腫
 外傷後、脳そのものが挫滅し(脳挫傷)、脳内に出血(脳内血腫)した場合を言います。
出血が多い場合、挫傷の範囲が広い場合、生命の危険があります。
緊急手術(開頭血腫除去術)が必要な場合があります。
慢性硬膜下血腫
 慢性硬膜下血腫とは、ゆっくりと(慢性)、脳を包んでいる膜(硬膜)の下に血が溜まる(血腫)病気です。
頭部外傷後3週間から数ヶ月で発症します。頭痛、認知症、麻痺、歩行障害などの症状がでます。
血腫が厚く、症状がある時は手術(穿頭血腫ドレナージ術)が必要です。局所麻酔を側頭部に行い、皮膚を3-5cm縦に切ります。
10円玉程度の穴を頭蓋骨に開け、血腫の中にドレーン(管)を入れます。血腫が抜けた後(翌日~翌々日)にドレーンを抜去します。
脳出血、痙攣発作、創感染などの合併症があります。出血が多い場合は緊急手術が必要になることがあります。
手術を行っても再貯留が約10-20%程度あります。再貯留しやすい人は以下の方です。
大酒のみ・高齢者・抗凝固薬・抗血小板剤治療者です。再貯留した場合は再度手術が必要となる場合があります。
経過良好であれば約2週間で退院可能となります。退院後は外来で定期的に画像検査を行います。