脳梗塞

『早期の病型診断、病型に応じた治療が重要です』
概要
 脳の血管が詰まり、その血管が栄養している脳が死んでしまう病気です。
詰まった血管が太ければ脳の広い範囲が損傷をうけますし、細ければ小さい範囲が損傷されます。
範囲が小さくても重要な機能をしている部分が損傷をうけると症状が強くでますし、機能していない部分が損傷されれば無症状のこともあります。
症状
 一般的な症状としては、「急に片側の手や足の動きが悪くなった」、「急に片側の手や足がしびれた」、 「急に言葉が出づらくなった」、「急に呂律がまわらなくなった」などが上げられます。 それ以外にも、顔の麻痺、めまい・吐気、「物が2重に見える」、意識消失などが脳梗塞による症状の場合があります。
分類
 脳梗塞は発症の原因によって、細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」、高血圧や糖尿病など動脈硬化の因子と関係がある 「アテローム血栓性脳梗塞」、心房細動などの不整脈が原因となる「心原性脳塞栓症」の3種類の病型に分けられます。
それぞれの頻度は、ラクナ梗塞32%、アテローム血栓性梗塞33%、心原性脳塞栓症27%、その他の脳梗塞8%と報告されています (脳卒中データバンク2005)。当院では、入院早期に病型をはっきりとさせ、それに基づいた治療計画を立てています。
ラクナ梗塞
 脳の深部の非常に細い血管(穿通枝と呼ばれる血管)が詰まるタイプの脳梗塞です。
通常、大きさは3mmから1.5cm程度の小さな梗塞です。ラクナとはラテン語で小さな空洞という意味です。
片側の手や足に力が入らない、しびれる、呂律がまわらないなどが典型的な症状です。 
高血圧が最も重要な危険因子であり、再発を予防するためには高血圧の管理が重要です。
アテローム血栓性脳梗塞
 脳内や頸部の血管が動脈硬化により細くなり、そこに血栓がつまったり、そこで形成された血栓がはがれてさらに 先にある血管を詰まらせることにより発症する脳梗塞です。
アテロームとは動脈硬化で起こる血管の変化のことを言います。
ラクナ梗塞よりも梗塞の範囲が広く、意識障害や失語症を伴うこともあります。高血圧、糖尿病、高脂血症が危険因子であり、 これらの疾患の治療も重要となります。
抗血小板剤(プラビックス、バイアスピリン、プレタール、バッサミン、パナルジン)の内服治療が再発予防に有効です。
頸部の動脈が非常に細くなっている場合は、頸動脈内膜剥離術あるいは頸動脈ステント留置術といった外科的治療が有効です。
心原性脳塞栓症
 心臓のなかで血流がよどみ血栓が形成され、その血栓が脳血管をつまらせることにより発症する脳梗塞です。
心房細動などの不整脈、心臓弁膜症、心臓弁置換術後などの場合、心臓内に血栓が形成されやすくなります。
心原性脳塞栓症では、それまで全く問題のなかった脳血管が突然詰まるため、重症となる場合が多いです。
広い範囲に脳梗塞を起こす場合が多く、さらに脳出血を合併する事(出血性脳梗塞)があります。
再発を予防するためには、抗凝固療法(ワーファリン、プラザキサの内服)を行います。
一過性脳虚血発作TIA
 脳の血管が詰まり脳梗塞の症状が出たが、24時間以内に症状が完全に消失するものを一過性脳虚血発作といいます。
症状が消えているからっと言って決して安心はできません。脳梗塞の警告の症状と考えた方がよいです。
一過性脳虚血発作発症後90日以内に脳梗塞を発症する確率は高リスク群では17.8%、特に発症後48時間以内に発症する事が多いです。
そのため、一過性脳虚血発作を発症したら、リスクを評価(ABCD2スコアなど)し、直ちに治療を開始することが重要です。
当院では、脳梗塞発症のリスクが高い場合には直ちに脳梗塞に準じた治療を開始する方針を取っています。